私のウォルマート商法 すべて小さく考えよ

手にとった背景

先日読んだジェフ・ベゾスの本の中で、Amazonの経営のなかで何度も サム・ウォルトンの経営哲学について述べられており早速図書館で借りて読んでみた。

合わせて読んでみると、2つの巨大小売企業の共通点(その多くはAmazonがWalmartから見習ったもの)が見えてきて面白かった。どちらかを呼んだことが有る方もぜひ両方を合わせて読んで見てほしい。

感想

ジェフ・ベゾスが見習ったウォルマートの経営戦略は「利益を顧客に還元することを徹底する」ことであり、それによって顧客がより自社のファンになってくれるサイクルをつくり上げることだ。このことを実現するために、ウォルマートでは(Amazonでも)同じ手段が取られている。つまり、

  • 商品の品揃えを増やし、低価格で提供する
  • 顧客がたくさん買い物をしてくれる
  • たくさん買ってくれるから固定費を削減できる
  • さらに商品を安くすることができる

というサイクルを回しあえて利益率を低く抑え、売上を大きくすることで利益を大きくすることが基本戦略となり、そのために必要なことは徹底的に行うということが貫かれているようだ。

EDLP(EveryDay Law Price)

いつでも安く変えると思ってくれれば,TVCMや新聞広告を出さなくても口コミなどで消費者が気づいてくれる。それによって、広告費を削減しさらに価格をさげることができるという好サイクルを実現している。

倹約思想によるコスト削減

コストを削減すれば、さらに低価格を実現することができる。サプライヤーとの交渉や旅費を減らすようなコスト削減だけではなく、サプライヤーへの売上情報開示や自社によるトラック配送など、常にコスト削減のための施策が打ち続けられている。例えば、配送の競争力を高めることによって、物流コストは競合他社に比べると40%程度も低く抑えられており、商品価格に反映すると1.5%~2.0%の差となっているそうだ。

データ活用と、現場の知恵を吸い上げる仕組みによる顧客体験の向上

いまでは当たり前になっているPOSシステムを導入したのも、Walmartが世界で最初らしい。コスト削減だけではなく、魅力的な売り場づくりのためにデータを徹底活用している一方で、データからは読み取れない店頭で起こったことは人を通じて吸い上げる仕組みを両立させている。

ウォルマートのこれまでの取り組みは世界各地の小売業に影響を与えており、呼んでる途中もついつい仕事帰りにスーパーによってみたくなるような売り場でおこっているようなことに加えて、上記のような経営レベルのことが同時に描かれており、さすが世界1位の富豪一家を築いたサム・ウォルトン恐るべし、という学ぶことの多い一冊だった。

Written on November 19, 2015